穏やかな冬の午後。 旅の途中、山の麓にあった小さな社で俺達は少しばかり休憩をとることにした。 俺が薬の整理していると、は日の当たる場所で丸くなり、 「用が済んだら起こしとくれ」 そう言って目を閉じた。寝息が聞こえてくるまでそう時間はかからなかった。 薬の整理が終わり、を起こそうとそちらを見ると娘の化けの皮が剥がれていた。 気が抜けすぎたのか頭に生えた白い狐の耳は、物音のする方にぴこぴこと動く。 だがそれよりも目を奪うのが身の丈の半分を占める白い狐の尾。 どっしりと重量感のある巨大な尾は丸くなって眠るを包み込むように横たわっていた。 是が非でも、触って、みたい。 しかしながら、 眠っている年頃の娘の尻から生えている白くて重そうなものを本人の許可もなく触るのは如何なものか? 「いや、いくらなんでも駄目だろう」と言う自分と「眠っているのだしばれなければ」と思う自分の間で揺れていた。 の方を見ると、良い夢でも見ているのか、口元が緩むのと同時に尾の先だけがぱたぱたと動いている。 ……訂正しよう。ばれなければ問題ない。 優しく撫でるだけならばきっと本人も笑って許してくれるだろう。 それこそ一緒に旅をしているのだから、互いを知るためにも多少のスキンシップは必要だろう。 いや、いっそのことここは男らしくがっ!と掴んで揉んでやろうか…… 「ちょいとそこの変態、声に出てるよ」 「…………ん?起こしてしまいましたか」 「今さら猫被っても遅いんだよ」 起きぬけに彼女が放ったのはその白い尻尾での強烈な一撃。 首を痛めてしまったが顔に残ったその感覚は、ふわっふわのもふもふだった。 しっぽの誘惑
(いっそ枕にして寝ればよかった)
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